オアシス成功前夜を切り取った決定的写真集『オアシス ザ・マスタープラン』好評発売中!
今年6月に発売され、大好評を博している写真集『オアシス ザ・マスタープラン』。本書の魅力は、UKのロック・ウィークリー紙「NME」で長年活躍し、数多くのアーティストのメインビジュアルを手がけてきた写真家ケヴィン・カミンズが、オアシスのデビュー前とその直後の姿をありのままに写し取っているところにあります。
「ケヴィンの写真には、俺たちの原点がそのまま写ってるんだ。
オアシスのファンなら絶対に手に入れるべき一冊だよ。」 ――ノエル・ギャラガー
今月、ワールドツアーがスタートしたオアシス。熱狂的なライブで世界が盛り上がる今こそ、彼らの“はじまりの熱量”を感じていただきたく、『オアシス ザ・マスタープラン』に収録されたケヴィン・カミンズによる[INTRODUCTION:はじめに]を特別公開いたします。
1994年、カミンズが初めてオアシスを撮影した日のことや、「NME」初表紙をめぐる逸話など、印象的なエピソードが綴られています。オアシスが動き出した瞬間に、写真家が見たバンドの素顔をぜひお楽しみください。
『オアシス ザ・マスタープラン』特設サイト公開中!
https://books.jeane.jp/oasis_the_masterplan
『オアシス ザ・マスタープラン』試し読み

INTRODUCTION
はじめに
ケヴィン・カミンズ
1994年初頭、オアシスが英国最大のバンドとしてブレイクする前、僕はオアシスのレーベルであるクリエーション・レコーズから依頼を受けた。このバンドをロケーションや照明スタイルを変えて撮影し、バンドが一番カッコよく見えるヴィジュアルを見つけてほしいというのだ。
2月、その最初の撮影のためにアムステルダムへと飛んだ。オアシスはそこでザ・ヴァーヴのオープニング・アクトを務める予定だったが、到着してみると現れたのはノエルだけ。ほかのメンバーたちは昨晩から飲み歩いてまだ帰ってきていないんだろうと考えていたら、ノエルが言った。ほかのやつらはフェリー上でチェルシー FCのサポーターたち(当初ウエストハムFCと言われていたのは誤報である)と乱闘騒ぎを起こして逮捕され、イギリスに強制送還されたと。
自分は早めに寝たのでケンカには一切加わっていないとノエルは言った。仕方がないので僕はその晩のギグのポスターの横にノエルを立たせ、写真を一枚撮った。現場に行ったという証拠写真として、そして音楽誌NMEのニュース記事に使うためだった。
その数週間後、イースト・ロンドンの撮影スタジオでようやく僕はオアシスの撮影をし、そのあとソーホーとウエスト・エンドでも写真を撮った。
ギャラガー兄弟は僕と同じ、マンチェスター・シティの大ファンだったので、シティのユニフォームを着ている写真をNME用に撮りたいと思った。それで一ヶ月後、オアシスと僕はスタジオと屋外で撮影セッションを行った。このセッションはいまでも気に入っている。ここでの写真はNMEの表紙と巻頭記事を飾る予定だったが、当時の担当編集者がサウサンプトンのサポーターで、この写真を表紙にすることに反対した。NMEを「負け組」と一緒にされたくないと言ったのだ。
いまごろ後悔していそうな発言だよね?
どんなバンドにとってもNMEの初表紙は大切だ。完璧でなければいけない。最終的に使ったのはグウェントのニューポートにあるホテル内の「ザ・オアシス・バー」という看板の下で撮ったリアムの写真[103ページ]だった。見出しのコピーは「めっちゃクール。オアシス、世界はおまえらを待っていた」であった。
このように色々あったが、マンチェスター・シティの写真は僕の作品の中でも最も知られた写真の一つとなった。いまでも世界中の雑誌の表紙で使われ(ついにはNMEも2010年1月2日号、オアシスの回顧特集で表紙に使用した)、マンチェスター・シティとオアシスは切っても切り離せない関係になった。1994年9月のオアシス初の日本ツアー、そしてアメリカ・ツアーの会場では、大勢のファンがブラザー社のロゴが入ったシティのユニフォームを着ていた(その中にはブラザーが電気機器メーカーだと知らないファンもいたし、このシャツは兄弟の絆の象徴かと僕に訊いてきたファンもいた)。また、本書の52〜61ページの写真はチャリング・クロス近くのフリットクロフト・ストリートで撮られたが、これは当時シティのミッドフィールダーだったギャリー・フリットクロフトに敬意を表してのことだった。
僕はオアシスと、それからそれぞれのソロ活動でのノエルとリアムと30年間にわたり、ともに仕事をしてきた。音楽誌やエスクァイア誌、マンチェスター・シティとのコラボ・グッズ、アディダスSPZLシリーズ、ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズの『カウンシル・スカイズ』のジャケットなどだ。彼らとのプロフェッショナルなつきあいはいつもとても楽しかったし、一連の作品を僕は大いに誇りに思っている。
『オアシス ザ・マスタープラン』(ジーンブックス刊)©Kevin Cummins
本書のオープニングを飾るこの写真は、2000年にパリで撮影したもので、リアムにカメラを向ける僕の姿が写っている。著者写真としてちょっと変わったものを使いたかったので、これが最も適していると思った。そして本書を締めくくる2枚の写真は1995年のNMEアウォーズ授賞式の夜のもので、オアシスが一年の助走期間を経て乗り出した上昇気流の象徴として掲載した。
本書の写真はすべてフィルムで撮影されており、色ムラがあるのは現像技術に差があるのと保存時の温度管理が不十分だったためだ。22〜3ページのバンド・ショットにキズがついているのはクリップ・テスト用(露出を確認するために一部だけ現像したもの)だったからだ。このセッションで残っていた唯一のカラー写真なので、どうしても掲載したかった。また、これをフォトショップで修正したらリアルさが失われると思い、そのまま残すことにした。
これまで多くの人が、オアシスにハマったきっかけはマンチェスター・シティのシャツを着たあの写真だった、メンバーたちが自分たちと同じ格好をしていたのがよかったからだと話してくれた。オアシスの服装を見て親近感を覚え、こいつらは自分たちと同じだと思ったという。本書の全写真でメンバーたちは自前の服を着ている。唯一の例外はマンチェスター・シティのシャツで、これは2枚とも僕のもの。また225〜9ページでリアムが着ているアルマーニの青いデニム・シャツも僕の私物だ。このシャツは撮影当日に僕が着ていたのだが、リアムにノエルと同系色の服を着てほしかったので貸した。これで写真全体に統一感が出たと思う。
オアシスは1994年にはまだ8歳だった僕の娘エラが初めてハマったバンドでもある。なぜいまでもオアシスを愛し続けているのか、エラに訊いた。
「わたしは身近にロック・バンドがいて、ロックが流れている環境で育った。ふつうの8歳の子どもは知らないようなバンドも知っていた。でも当時はアイドル以外のバンドのファンになるのはダサいことだと思われていた。
マンチェスターの小学校で、マンチェスター・シティのファンなのもキツかった。1994年にはシティは弱かったし、1996年になるとさらに順位が落ちた。同級生からものすごくバカにされた。それでシティのファンだと人間的に成長できる。打たれ強くなるし、ユーモアのセンスも発達するというのがわたしの持論になったくらい。
そこに突然現れたのがオアシスだった。誰にどう思われようと全然気にしない。しかもウチからたった5分のところの出身で、一番大事なのはマンチェスター・シティのファンでそれを誇りに思っているということ。その人たちが「世界一でかいバンド」になるんだっていう。
それから父を通してメンバーたちと知り合いになった。彼らといると自分がクールだと思えたし、人と違っていても堂々としていていいんだって自信を持てた。地元メイン・ロードでのライヴはまさに夢が叶ったようだった[メイン・ロードはマンチェスター・シティの元本拠地のスタジアムでオアシスは96年に凱旋公演を行った]。誰もがあのライヴを目撃したがった。そしてそのあと、何もかもが変わった」
メイン・ロードのライヴはエラのようなファンを、そしてオアシスを永遠に変えた。ここに収められた写真はそこに至るまでの地殻変動の12 ヶ月間を記録したものだ。
【数量限定特典付き】オアシス ザ・マスタープラン公式オンラインショップで発売中
ジーンブックス公式オンラインショップでご購入いただいた方に、オリジナル特典「アクリルキーホルダー」と「ポストカード2種」に加え、共通特典の「ポストカード1枚」をセットにしてプレゼント!
公式オンラインショップはこちら
『オアシス ザ・マスタープラン』について
英国を代表するロックバンド、オアシス誕生の瞬間──巨匠ケヴィン・カミンズの象徴的写真×ノエル・ギャラガーの言葉で描く決定的写真集
ジョイ・ディヴィジョン、ビョークらを手がけた高名な写真家ケヴィン・カミンズが、オアシスの音楽と素顔をアイコニックな写真で浮かび上がらせる。初公開写真多数収録、バンド成功への進化の歴史が明かされる!

オアシスがデビューを迎えるまでの激動の12カ月を追った貴重な写真や、デビュー直後のバンドのアイコニックな写真を収録。その多くが世界初公開となる未発表ショットです。
オアシスはどのように誕生したのか?
新たなバンドの サウンド、ルックス、アイデンティティ を形作る無数の要素とは何か?
オアシスの誕生と進化を目撃する、すべての音楽ファンにとって見逃せない一冊となっています。
書誌情報
書名:オアシス ザ・マスタープラン
著者:ケヴィン・カミンズ
訳者:鈴木あかね
仕様: A4判変形(269 × 200mm)/ハードカバー/256ページ
価格:¥5,280円(本体¥4,800円)
ISBN:978-4-910218-40-3
発売日:2025年6月
発行元:ジーンブックス/株式会社ジーン
特設サイトはこちら
https://books.jeane.jp/oasis_the_masterplan
Profile
ケヴィン・カミンズ Kevin Cummins世界有数の写真家として国際的に高く評価されており、イアン・カーティス、デヴィッド・ボウイ、ザ・スミス、イギー・ポップ、ビョーク、デボラ・ハリー、ボブ・マーリー、パブリック・エナミー、パティ・スミス、オアシス など、多くのミュージシャンの象徴的なポートレートで名を馳せている。
彼の写真は、ブルックリン美術館、シドニー・オペラハウス、ペース・ギャラリー をはじめ、ニューヨーク、ロサンゼルス、ブエノスアイレス、ベルリン、ロンドン、ボローニャ など、世界各地のギャラリーや美術館で展示されてきた。また、彼の作品は、ナショナル・ポートレート・ギャラリー、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)、マンチェスター・シティ・アート・ギャラリー の永久コレクションにも収蔵されている。




