70年代、80年代のロックスターたちとの日々を綴ったエッセイを、編集部が厳選してご紹介!全9回を1話ごとに平日連日配信
英字雑誌Tokyo Journalにて連載された、世界的ロックフォトグラファー、ボブ・グルーエンの大好評ロックエッセイを、同誌編集部のご厚意により日本語バージョンでお届けします。
本連載では、世界中のロックスターたちに愛されたボブ・グルーエンの幅広い交友ぶりにフォーカスを当てました。
今年発売されたばかりの、ボブ・グルーエン初の自伝『ライト・プレイス ライト・タイム あるロック・フォトグラファーの回想』(ジーンブックス)の中でより詳しく語られるエピソードもありますので、本書を片手に読み比べつつ、ロック黄金期の回想ドキュメンタリーをお楽しみください。
<第6回>ラモーンズ
1975年、マスコミ関係者向けの小規模なお披露目ライブでラモーンズを観ました。彼らは15分ほどで10数曲を演奏し、何がなんだかよく分からないと思ったものの、改めてライブを観てみたいと思わせるものでした。
その後、雑誌の仕事で彼らに会うことができました。彼らが育った場所であるクイーンズ地区のフォレストヒルズで撮影を行ったのですが、最初のフィルムを使い切った時点で、私にとってのラモーンズのベストショットといえる写真を何枚かものにすることができました。
撮影はまず彼らが根城にしていたビルの屋上から始まり、それから地下鉄でマンハッタンに移動しました。その夜、彼らはCBGBでのライブを控えていたのです。CBGBに着くと、彼らに会場の前に立ってもらい、グループでの写真を撮りました。これはシンプルなものではありましたが、ラモーンズにCBGB、そしてパンク全体を象徴する写真になったのです。
それからの数年間、ラモーンズはCBGBにたびたび出演しましたが、彼らはきまって飾り気がなく、それでいてすさまじい大音量を出すバンドであり続け、地元では大変な人気でした。
1976年7月にはイギリスに行き、ロンドンで起こりつつあったパンクシーンを刺激しました。ラモーンズは他のどのバンドよりもテンポが速く、音量が大きく、そして力強かったのです。ごく短い時間にすさまじいエネルギーを放出する彼らを観て、多くの人々に刺激を与え、その中にはクラッシュやセックス・ピストルズのメンバーもいました。
ラモーンズを気に入った私は、できるかぎり彼らのライブを観るようにしていました。何作かレコードを出した後、ドラマーのトミー・ラモーンがツアーが嫌だという理由でライブに顔を出さなくなりました。後任のドラマー、マーク・ベルはマーキー・ラモーンと名乗るようになります。80年代後半にはベースのディーディー・ラモーンが脱退し、代わりにCJラモーンが加入しています。このようにメンバーは変わったものの、ラモーンズの音楽は相変わらず強力で、そのすべてを厳格に取り仕切っていたのがジョニー・ラモーンでした。
1994年冬、たまたま東京にいたおかげで、ラモーンズにとって2000回目のライブに立ち会うことができました。その後でジョーイ・ラモーンを鮎川誠とシーナの自宅に連れていきました。二人のバンド、シーナ&ザ・ロケッツはラモーンズの曲「シーナはパンクロッカー」から名付けられています。その彼らがよい友人になったのは素晴らしいことでした。
その後、2002年にラモーンズは「ロックンロール名誉の殿堂」入りを果たしています。

Dee Dee Ramone, Joey Ramone, Tommy Ramone and Johnny Ramone of The Ramones on a subway in NYC. July 18, 1975. © Bob Gruen

Dee Dee Ramone, Tommy Ramone, Joey Ramone and Johnny Ramone of The Ramones coming out of a subway station in NYC. July 18, 1975. © Bob Gruen

Johnny Ramone, Tommy Ramone, Joey Ramone and Dee Dee Ramone of The Ramones on stage at CBGB’s, NYC. September 1976. © Bob Gruen

Ramones on stage at CBGB’s, NYC. April 1979. © Bob Gruen
▶︎第7回
『ライト・プレイス ライト・タイム あるロック・フォトグラファーの回想』
世界で最もロックを撮った写真家、ボブ・グルーエン初の自伝。250枚超のロックレジェンドたちの写真を掲載した永久保存版!
ジョン・レノン、ボブ・ディラン、ミック・ジャガー、エルトン・ジョン、セックス・ピストルズ、キッス…伝説的ミュージシャンたちとともに1960年代から半世紀以上を歩んできたロックフォトグラファー、ボブ・グルーエン初の回想録『ライト・プレイス ライト・タイム あるロック・フォトグラファーの回想』が遂に日本上陸。
本書では、被写体となったアーティストとの逸話をはじめ、ロックの黎明期より活動してきた著者ならではのエピソードが満載。1970年代よりたびたび訪れた日本の思い出なども存分に語られます。
カラー多数含む250点超の写真を掲載した永久保存版です。
【書誌情報】
書名:ライト・プレイス ライト・タイム あるロック・フォトグラファーの回想
著者:ボブ・グルーエン/デイヴ・トンプソン
訳者:浅尾敦則
仕様: A5判(210×148mm)/ソフトカバー/500頁
価格:3,850円(本体3,500円)
ISBN:978-4-910218-07-6
発売日:2024年8月
発行元:ジーンブックス/株式会社ジーン
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刊行記念ボブ・グルーエンインタビュー配信中!
クレイジーな時代にロック写真家として生きるために見出した「音楽業界のサバイバル術」——ボブ・グルーエンインタビュー<第1回>
(https://books.jeane.jp/article/interview_bobgruen_1/)

Profile
ボブ・グルーエン(Bob Gruen)1945年ニューヨーク州生まれ。ロック・フォトグラファーの草分けにして第一人者。1970年代初頭にプロの写真家として独立してからは多くのミュージシャンと親しくなり、とりわけニューヨーク移住後のジョン・レノン、オノ・ヨーコとは密接な交流を持った。また英米のパンク、ニューウェーブを当初より記録してきたことでも知られる。日本とのつながりも深く、70年代よりたびたび来日し、一時は東京に居を構えていた。2017年には写真集『ROCK SEEN』(SMASH)が日本でも刊行され、あわせて写真展も開催された。ニューヨーク在住。